平安物語【完】
「なりません。
何を申し上げると言うの?
絶対になりません。」
必死で止めようとすると、乳母の目から涙が一つ零れました。
「あんまりでございます…
あんまり薄情な。
長年連れ添ったご寵愛の姫様を見捨てて、ただ血縁のあるだけの麗景殿様を中宮にお立てになるなんて。
あんまりでございます。
お頼りしていたのに…
私の、私のこの立派な姫様を何と思し召すのか!!」
そう言って泣き崩れました。