平安物語【完】
乳母の愛情が嬉しく、また申し訳なくもあり、私も涙を流しながら乳母の所まで膝を進めました。
「帝は何もお悪うはございません…
仕方がないのです。」
そう言って乳母の手を握って、二人で泣きました。
何度か女房が入って来ようとしましたが、この異様な光景を見て遠慮したようです。
日が暮れて大殿油(おおとのあぶら。灯火。)を持った女房が入って来るまで、ただ二人だけで泣き伏していました。
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