平安物語【完】
その時、外に近い女房達にざわめきが走りました。
「申し上げます!」
その使者の息は上がっていて、急いで来たのだということが分かりました。
「椿の上、無事に若君を産み奉りあそばしましてございます!
椿の上、若君共にお元気でいらっしゃいます!!」
わあっと歓声が上がり、手を取り合って喜ぶ者、ぺちゃくちゃと興奮気味に話し合う者、感極まって泣き出す者などが出ました。
私は、緊張していた全身の力が抜けてその場に座り込み、感動で涙が滲んでいました。