平安物語【完】
あんまり真剣で悲しそうに勘違いなさって私をご覧になるので、私はつい ふふ と笑ってしまいました。
すると東宮様は真っ赤になって、
「本当にお笑いになりましたね!
言葉のあやというものでしょうに」
と恥ずかしがっていらっしゃるので、
「どうして私が、東宮様のなさる事を嫌がったりいたしましょう。」
とだけ申し上げました。
「では、お怒りではないのですか?」
となおも不安そうになさいますので、少し微笑んで見せますと、
「ああ良かった。
あなたに嫌われては、私は…」
そう仰って強く私を見つめ、何度も何度も唇を落とされて、そのまま全身で東宮様の愛情を受けました。
強く逞しく、それでいて優しく…
幸せ…
涙が出るほどに…