平安物語【完】
弁の話によると、一昨日の夜に横恋慕を聞かされた弁は、きつく右大将殿を諫めたのだそうです。
そして昨夜、私の所へ行こうと支度をしていたところに右大将殿が訪れ、そのまま半ば強引に共寝をすることになり、疲れ果てて寝てしまったのだとか。
そして目を覚ますと右大将殿の姿が無く、とにもかくにも私の元へ行かなければと参ったところ、昨夜のあの場面に遭遇したのだそうです。
なるほどそれならば、右大将殿から弁の薫き物の香がしたのも納得です。
しかし、愛する妻を抱いた直後に私に愛を囁くなんて、全く呆れた了見ではあります。