平安物語【完】
「あなたが来てくれていなかったら、どうなっていたことか…」
弁を疑った自分を恥じました。
「女御様…。
私…右大将様とは別れます…。」
か細い声で言う弁にはっとして、手を握り
「そなたが耐えられぬと言うのなら、私は勿論止めません。
しかし私の為なのならば、それはやめなさい。
自分の幸せを投げ出してはなりません。
それに、あの方ももう懲りたことでしょう。」
そう言って、にっこりと微笑みました。