平安物語【完】
「先ほどの盗み聞きをお許し頂いて、ご一緒頂けませんか?」
と仰って、
「この琴を借りますよ。
良いか?」
と近くにいた女房に問われると、その女房は頬を赤らめて「どうぞ…」と差し出しました。
「ありがとう」
と微笑んだ東宮様を、その女房は真っ赤な顔で恥ずかしそうに見上げます。
あの女房の、可愛らしいこと…
そんな顔で東宮様を見ないで…っ
東宮様…そんなに優しく笑いかけないで…
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