平安物語【完】



「はい実は、あなたのお身体も案じられますので、今宵は自室でゆっくりお休みになりますよう、私から伝えようと思いまして。」


…え?


「やはり実際、お疲れだったのですね。

ではこれで失礼いたしましょう。」


待って…

今宵はお召しが無い?

私のため?

どうして…


茫然としている私の代わりに、乳母が「お気遣い痛み入ります。」と申し上げているのが聞こえました。


私のため…

私は…東宮様のお側にいたい…

しきたり通りの三日のお召しで、東宮様は何もお思いにならないのですか…?

こんなに切ないのは…私だけだったの…?

私は…政略結婚で押し付けられた妃…



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