平安物語【完】
…一日・二日と、東宮様のお召しが無く経ちました。
恋しい…。
あんな嫌な態度をとったから、嫌気がさしてしまわれたのかしら…
東宮様がいらっしゃらないと、こんなきらびやかな御殿も意味がないわ…
ぼうっとしているうちに、もう日が傾いていました。
すると、
「今宵、東宮様のお召しがございます。」
と言う声が聞こえました。
え…?
部屋の簾の向こうには、東宮様のお使いの女房が…
うそ…東宮様のお召しが…?