平安物語【完】
私達二人の食事が運ばれてきました。
食事の支度が済み次第、女房達は下がります。
「さあ、食べられるものからで良いから食べなさい。
どれが良いですか?」
そう仰いながら、椀を取らんばかりに気を遣ってくださいます。
「大丈夫ですわ。
お腹の御子のため、多少無理をしてでも頂きます。」
そう言って微笑み、汁物のお椀を手に取りました。
すると尚仁様も満足したようで、ご自分のお膳に手をつけ始めました。