平安物語【完】



「えっ、私は自分の分で十分ですわ。」

驚いてそう申し上げると、

「いえ、あなたのお腹の我が子に食べさせたいのです。

現在私に出来る贈り物は、これくらいですから。」

そう微笑まれます。


――尚仁様…


感動して目を潤ませていると、さっと膝を寄せていらっしゃいました。



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