平安物語【完】
嬉しい…
嬉しいっ
東宮様にお会いできる…
泣き笑いしてしまいそうなのを押し殺して、いつもより念入りに化粧し、着物の重ねの色目にも一段と注意し、髪もよくよく梳かせて、何度も何度も鏡を覗き込みます。
私がこんなにもお慕いしていること、きっと東宮様はご存知ないでしょう。
それでも良い…
東宮様が、私をお側に置いてくだされば、それだけで…
ときめく心を胸に、愛しいお方のもとへと歩き始めました。