平安物語【完】
訳が分からなくも幸せでしたが、何しろ慣れないもので息が続かず、東宮様の胸を軽く叩いて訴えました。
お互い上がった息のまま見つめ合い、東宮様の熱い瞳に驚きました。
「どう…されたのです?」
そう問うと、
「二日間お会いしなかっただけで、苦しくて…
それでも寝所の外で待てばまたあなたに叱られると思い、寝所の襖のすぐ側で待っていたのです。」
そうおっしゃって、照れたように笑っていらっしゃいます。
このお言葉を、信じても良いの?
東宮様も、私に会いたいと…
どうして、零れる涙をおさえられましょうか。
東宮様のお胸で、幸せの涙を流しました。
東宮様は「泣かないで…」と私の瞼に口づけを落として、そのまま優しく押し倒されました。