平安物語【完】
「ね、女御様。
帝は、あなた様を信じていらっしゃいました。」
にっこりと誇らしげな右大将の君を見つめながら、感謝とも愛しさとも申し訳なさとも言えない、何とも形容しがたい、温かい想いが胸に溢れました。
――噂を耳になさりながら、疑いもお持ちにならなかったのだわ。
そんな気配は一切無かったもの。
あの温和な帝が、ご自分より年上の貴族達を前にそんな事を仰ってくださるなんて…
疑っていたのは、私だったのだわ。
帝のお心を疑っていた…。