平安物語【完】
――
それからというもの、御公務の合間を縫っては若宮に会いにいらっしゃり、父大臣と鉢合わせた時は若宮争奪戦が繰り広げられました。
とは言ってもあくまでも和やかなもので、お互いにとても楽しそうなのです。
梅壺の女一の宮と梅壺更衣殿はご遠慮くださっているのか、随分と里帰りしたままで、麗景殿の女二の宮は、母君と一緒にご自宅にいらっしゃいます。
尚仁様は、若宮に会いにいらっしゃったまま夜になってしまえば弘徽殿にお泊まりになることも多々あり、私がお召しを受ける頻度も高かったので、並ぶ方なき御寵愛を独占することになっていました。