平安物語【完】
中宮様は私の方に寄っていらして、
「ご覧ください…」
と若君を見せてくださいます。
若君の方は、本当に幸運なことに中宮様にそっくりです。
くりっとした目が中宮様そのものなので、顔立ちから父親が疑われることはまずあるまいと思われます。
「どう思われますか?」
心配そうに中宮様がそうお尋ねになるので、私はにっこりと笑顔を見せて
「中宮様にそっくりですね。」
と申し上げると、中宮様はホッと安堵の溜め息をつかれました。