平安物語【完】



そして…禁色(天皇・皇族以外の着用を禁じられた色)である、赤の着用を許され、真っ赤な上着をはじめとした豪華絢爛な衣装に身を包み、宮中へと向かいます。

その衣装の私を見て、乳母が涙ぐんだのは言うまでもありません。


「お母君がご覧になったら、どれほど喜ばれたことか。

お母君は、あなた様に美しい衣装を着せることが何より楽しみでいらっしゃいました。」

そう言われて私も胸が熱くなりましたが、めでたい日だからと涙をこらえ、車に乗りました。


その行列は、若宮を連れて参内した時以上に華やかなものとなっていました。

たくさんの人々が着飾って従い、その華麗な行列を見に、女車から身分の低い人々まで、数え切れない人々が、出てきていました。



< 601 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop