平安物語【完】
「どうしたのです?
このような…」
困惑したような東宮様のお声に申し訳なく思いながらも、襖を閉ざす手には力を込めました。
「お尋ねしたいのです…」
私の声は、緊張と不安で震えていました
「ほかのお妃様と契られた今も、今もなお、三日前と…同じですか…?
お心は……変わってしまわれましたか…?」
もし実際にお会いして、東宮様のお心変わりに直に気づいてしまったら…私は耐えられない…
涙につまりながら、必死で言葉を紡ぎました。
「も、もし…お心があちらに…」
そこまで言ったところで、私よりも遥かに強い力で襖があけられました。