平安物語【完】
―今日は、五日ぶりの東宮様のお召しがございます
ご懐妊が発覚してからずっと、尚侍に付き添っていらしたようです。
「…今日は、ご辞退なさいませ。
五日間ろくなものも召し上がらず、見るからにご気分が優れなさそうでいらっしゃいます。
東宮様もご心配なさいますから、ね?
ご養生くださいませ…」
乳母が泣きそうな顔をして説得しますが…東宮様に、気にしていると悟られたくないのです…
私は、高貴で重々しい年上の女御でなければ、ならないのです…