苺ショートケーキ
階段を駆け下り、台所の方へと向かう。
そして冷蔵庫にある、小さな箱を取り出した。
「………」
大ちゃん以外の4人は、あたしが大ちゃんを好きだなんてこと、とっくに知ってる。
気付かないのは、大ちゃんだけだよ。
あたし、ちゃんと言ったのに。
1度伝えたのに。
……鈍いんだから。
小さな箱の中に入っている、小さなイチゴショートケーキ。
いつ渡すか、完璧にタイミング失っちゃった。
2回目の告白は、言わないまま終わりかな。
もう終わり?
あたしはどこまで意気地無しなんだろう。
―――7年前の今日。
あたしは初めて、あなたに“好き”と言った。
初めて作った、イチゴがのったショートケーキ。
大ちゃんにあげたら、当時はまだ甘いものが嫌いだから、上のイチゴだけ食べてた。
だから残りは、あたしが全部食べたんだ。
ちょっぴり残念な気持ちを抑えて、「仕方ないね」って一生懸命笑いながら。
この頃の大ちゃんは、イチゴショートケーキも苦手だった。