苺ショートケーキ
でも、なんでだろう。
なんであたしなのかな。
大ちゃんは、誰からも人気のある人だから。
わざわざあたしを選ぶ理由なんてない。
あの時キスしてなかったら、あたしは妹で終わってたのかな。
「ねぇ、大ちゃん」
「ん?」
「あたしでいいの?」
分かんない。
分かんないよ。
大ちゃんは一瞬驚いた顔をしたけど、直ぐに優しい顔になって、
「うーん、いいのかな」
ただそう言った。
やっぱり、迷ってる?
あたしなんかじゃ、彼女はつとまらない?
顔は童顔で、背だって低いし。
釣り合わない?
「なんでとか、そんなんはもう今更分かんないけどさ」
しばらく間を置いてから、大ちゃんは続けた。
「昔っから、可愛くて仕方ないんだよ」
困ったように笑う大ちゃんは、あたしの頭に手を置いた。
その大きな手が温かくて。
心地よくて。
ダキスキで。