苺ショートケーキ
「楽しみだね、クリスマス!」
「幼稚園児みたい」
「失礼なっ」
他愛もない会話が、たまらなく楽しいんだよ。
嬉しいんだ。
ドキドキするんだ。
大ちゃんは特別だから。
「可愛いんだから、付けとけば?」
…だけど。
あたしは、大ちゃんに言われる“可愛い”がダイキライだ。
妹だから、言うんだよね。
照れずに、なんのためらいもなく言えるのは妹だから。
でしょ?
「やだ、取るっ」
あたしは、頭にあるカチューシャを取った。
「明日は付けとけよ」
「…うん」
はぁー…。
あたしの、バカ。
「じゃーまたな」
「うん、バイバイ」
日が赤く染まり始めた頃、大ちゃんは隣の家に帰っていった。