苺ショートケーキ
「なんでそんな流れになったの?」
「ひ、秘密!これ以上は言わないよ!」
あたしはそう言い捨て、急いで自分の席に着いた。
火照る顔を両手で包む。
騒がしい教室なのに、あたしの心臓の音だけが、やけに大きく聞こえた。
あたしのファーストキスは、その頃から大好きだった大ちゃん。
だけど大ちゃんは、きっと覚えてないんだろうな。
ううん。
きっと、そんなことがあったことすら知らないんだ。
あたしだけの、秘密だもん。
「キョン、今日は一緒に帰ろ?」
「うんっ」
帰る準備をしていたら、大ちゃんから誘ってくれた。
思わず顔が緩む。
「キョー、三浦、後でね!」
「バイバーイ」
舞と衣緒に手を振る。
「大輔、小坂、後でな」
「また後で」
次に男子組に手を振る。
「帰ろ」
「うん」