蟀谷にピストル
そう聞いたらねーちゃんはでかい目を丸くさせて。
「どーした」
と聞いてきた。俺は「いや…」と言葉を濁した。
そうするとねーちゃんは笑って。
「上手くいってなかったらあたしはココにいないよ」
それをいってねーちゃんは雲で霞んだ月を見た。
俺はヒヤッとした。
あの人のことを溺愛しているねーちゃんだ・あの世にいるかもしれない。そう考えると「えっ」と声が漏れた。
「そしたら」とねーちゃんが口を開く
「そしたらあたしはあの人の所にいてさ。
嘘でもイイから
『すきだよ』って言ってもらって・そんであたしは・ずーっと
本当の『愛してる』が貰えるまで泣くの。」
と言ってこっちを向いて
笑った。
ビックリした。
なんにも考えずに唐突に聞いた質問に
こんな濃い答えが来るとは思わなかった。