蟀谷にピストル
染みついた香り
「バカ野郎!死にやがって!」
響くこえ。
「何で、死んだんだよ。」
火葬場に。
「なんで。置いて行くのよ。」
悲痛で。
「まもるって。言った…じゃない。」
こっちまで、泣きたくなるような学生の声。
「約束。破るなんて!あんたらしくない。バカ野郎。」
そんな声など届かない。カレには。
カレは笑ってる。
「愛してたわ。」
カレに最後のキス。
(あんたが、死んだから。私も死んだわ。)
「彼は、死んだのよ」
響く、声。
"しみついたかおり"
(きっと彼女は次の日学校に行くために制服を着たとき、染みついた線香の香りでまた、泣くだろう。)(せいふくに、なみだのシミ。)