蟀谷にピストル


ねーちゃんは俺より背が低い。
女子だから当たり前だがおれの頭1個と半分ぐらい背が違う。
ねーちゃんは綺麗でウチの高校のマドンナ的存在だ。弟の俺が言うのはおかしいが。性格のも悪くなく・頭もいい。

「あんなねーちゃんがいてお前はいいな」

とか先輩とか友達とかに散々言われたけど。いくら綺麗であっても"ねーちゃん"は"ねーちゃん"であって別にねーちゃんが綺麗であろうがなんだろーがどーでもイイ。

でも、この頃ねーちゃんがまた綺麗になった。と思う。

そんな事を考えてたら俺は、くたびれたスニーカーをキチンと並べた時の体勢のままで屈んでた。

端から見たら凄く変な光景だろう。玄関に立ったまま前屈して動かないんだ。普通なら、どうしたんだとか聞きたいだろう。
案の定ねーちゃんが前屈で顔だけ上げてる俺に

「どうかした?何かあった?」

と聞いてきた。その声ではっとした俺は体を起き上げて

「いや…大丈夫。問題ねぇー」

と軽く流した。「ねーちゃんのこと考えてた」て言ったら絶対「あたしに恋しちゃったか!」とか下らないことを言うと思う。

それが面倒くさいから軽く流した。
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