蟀谷にピストル
好敵手と呼ぶべきか、
「オレら、戦友だな。」
「…ああ、」
オレらは一人の女の子を好きになって、どっちが彼女に相応しいかって争った。全く、一昔前のマンガか。
結局、決着はつかなかった。
「楽しそうだよな。」
「…そうだな」
俺らは本当にそんな役だとおもう。21世紀のご時世にこんな殴り合い。俺、何気忙しいのに。
殴り合って体が痛い、決着はつかない。挙げ句の果てにはこんなオチかよ。
「「先輩とつきあってる。」」
見事ハモったれば、オレは耐えきれず、腹を抱えて笑ってしまう。
「オメー顔、ヒデーことになってんぞ。」
「お前こそ。」
そして俺らは笑う。
取りあえず顔を洗おう。
敗因を探る討論会という名の俺らの失恋パーティーはその後だ。
"らいばるというべきか、"
(戦友?)(まあ、一番の敗因は)(本当の恋敵を知らなかったことだ。)