Pure Hart
「あのとき、吹奏楽の部室飛び出していったの・・・明日美だよね?」

あっ・・・あの時、夢中で走っていたから分からなかった。

「明日美!!」と声をかけたのはお兄ちゃんだったんだ・・・・。


『お兄ちゃんだったの?あの時、私に声をかけたのは・・・。』

「そうだよ。」

『夢中で走っていたから分からなかった。』


お兄ちゃんは少し笑っていた。

でも、お兄ちゃんにはこのことを知ってもらいたいと私は思った。

『私・・・・比奈からいじめられてたの・・・・。』

「えっ・・・・」

『教室でも悪口いわれて・・・このあいだもフルートの楽譜破かれたうえに殴られたの・・・。』

「そうなんだ・・・・。」

『それからだよ・・・教室にいけなくなったのは・・・・』

「知らなかったよ。ありがとう。話してくれて・・・・。」

『お父さんとお母さんには言わないで!!』

「どうして?」

『あの2人は明日香のことでもういっぱいなの・・・それなのに・・・私がこんなことになって・・・・迷惑かけたくないの。』
< 8 / 31 >

この作品をシェア

pagetop