あなたにさえ、言えたなら。
時刻は10時54分、今日は平日。

本当は教室で国語の授業を受けているはず。

けど私はのん気に屋上で携帯いじり。

中学3年生となって受験生だけど、授業なんかやってらんない。

だって面倒じゃん?

みんな静かだし、まじめだし、つまんない。

だから私はいつも屋上にサボりに来ている。

でも、一応もう1つ理由がある・・・・

それは、『あの人』に会えるからだ。

ガチャン!

屋上の入り口のドアが勢いよく開かれた。

「お、先客かよ」

入ってきた人物は煙草を銜えながら、長い白衣のポケットに手を入れた男。

そう、『あの人』とはこの男だ。

彼の名前は白石純吾、22歳。

ここの学校の、理科の担当教師。

それから私の『想い人』だったり。

先生に恋するなんて、みんな『論外』って言うけど、、白石先生はカッコいいもん!!

「隣あいてます?」

白石先生は、私の目の前で煙草を吸いながら尋ねてくる。

「はい、座るならどうぞ」

「じゃあお言葉に甘えて」

と、私のすぐ横に座る。

「今日もサボりか岡本?いけない子だ・・・」

「そう言う先生は?」

「サボり」

「ふふ、一緒ですね」

この何気ない会話、凄く和む。

一緒にいてとても落ち着くの。

だからいつでもサボって屋上に来る。

人を想うという事はいいものだ。

そう思いながら私はいつも上の空。

『この日がずっと続きますように』

そんな事を思いながら、私は白石先生と長い長いお喋りをしていた。
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