あなたにさえ、言えたなら。
その男の人は、ずかずかと私の方へ向かってきて、私が宮野君へ書いた手紙を取り上げる。

「ちょっと!返しなさいよ!!」

私はその男の人から、手紙を奪おうと近くに寄る。

その瞬間、その男の人はニヤリと不気味な笑いをした。

「しょぼい恋文だ」

私はその一言で少し苛立ち、ムッと頬を膨らます。

そして手紙を読み終えて、男の人は私の顔に急に自分の顔を近付けてきた。

つり上がっている茶色の瞳に、高い鼻が、危険な感じが漂っている。

『カッコいい・・・』

一瞬、そう思ったが男の人の良いところは顔だけであった。

「俺は白石純吾、今日からお前らのクラスの担任だ」

いきなり何を言うかと思ったら・・・・

何の冗談を言うんだこの男。

私はその白石純吾とか言う奴から離れ、睨み付けた。

「白石純吾とか言う人、手紙を返してください」

手を差し伸ばし、手紙を返してもらうように言いつけた。

こんな最低な男に、恋文を読まれて悔しい思いが私に溢れてゆく。

そしたらまた白石純吾は不気味に笑いながら、私に近づいて来た。

「ちょっとちょっと、君さぁ・・・教師にそんな悪い口きいて良いわけ?」

ドンッと、私を床へと押し倒す。

私は赤面した顔を横に向かせながらも、男の人の手を退かそうと頑張った。



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