華
ついに、この時
「おはよう」
そうママに言い、
洗面所へと向かう。
第一印象が大事だからな。
なんて、女の子らしい事を
思っている。
ナチュラルメイクをし、
髪をアップさせる。
「よしっ。
出来上がり」
朝食を済まし、
制服に着替える。
今、気づいた事。
「どうして、
男子校なのに女子用の制服があるんだ。」
着替えながら、考える。
そうこうしているうちに、
時間が経った。
「美乃里、そろそろ
行った方がいいんじゃない。」
ママの声が聞こえたので、
返事をして玄関へと向かった。
ローファを履き、ドアに手をかけ、
「行って来ます。」
「行ってらっしゃい。」
ママが優しい笑顔で送り出してくれた。
なのに…
どうしてバカなのだろうか。
あたしの家は、母子家庭で。
ママに苦労かけてるのは
十分承知。
でも、バカになってしまうほどの
苦労をかけた覚えはない。
ため息をついて、
考え事をしているうちに
学校に到着。
「ついに、この時が来たか…」
風に包まれ、校舎を見上げた。
心臓の音が次第に早くなって行くのが
わかった。
そして校舎の中へと
足を踏み入れた。