それでもお前は俺を…
そこにいたのは、
以前、俺に彼女がいるのかを聞いてきた女とその友達であるゆかだった。
「松村君の友達って、草野君だったんだ!」
声を掛けてきた方の女は、俺を見るなり驚いた様子でそう口にした。
「え?2人って知り合いだったの?」
女の言葉を聞いて、恭平も、驚いてそう口にした。
「前に、あたしが、話しかけたの覚えてる?」
さっきの女が、俺に向かって、そう尋ねた。
「あぁ。…覚えてる。」
「本当に? あの時は、突然、話しかけちゃってごめんね。」
俺が、そう答えるなり、女は、申し訳なさそうに、そう言った。
「いいよ。全然気にしてないから。」
相変わらず、俺はそっけない態度をとる。
「そうだ! 紹介するね。 あたしは、2-Bの森下 美空です。
それで、こっちが同じクラスの神谷 有華。」
名前を紹介された、有華は、俺に向かって軽く頭を下げた。
俺も、有華に向かって軽く頭を下げた。
「森下さんに、神谷さんね。 よろしく。」
俺が、作り笑いをして挨拶すると、
2人も、同じような言葉を返してきた。
しかし、まさか、あの時俺に話しかけてきた女が、恭平の言っていた、可愛いと有名な女だとは知らなかった。
そして、こんな形で有華と面と向かって会うことになるとは。