それでもお前は俺を…
「草野君って、彼女とか居るの?」
放課後…
帰ろうと思ったら、
いきなり誰かに話し掛けられた。
声のする方を見ると、
一人の女。
それと、教室の扉の向こうの少し離れたところから俺を見ている女。
「居ないよ。」
俺が、そう言うと。
女は、向こうに立っていた、女の方を向いて笑顔を見せた。
「よかったね、有華!」
そして、そう言った。
有華と呼ばれた女は、少し恥ずかしそうに俯いていた。
それから、すぐに、さっきの女と一緒に、そそくさとその場から立ち去った。
見ない顔だから、違うクラスの奴か…
何組の奴かなんて気にならないけど、
でも、なんとなく状況が掴めた。
有華って女は、多分だが、俺に、気があって…
友達である、この女に彼女が居るかを聞いてもらた。
俺が自意識過剰でなければ、こういう状況で合っているはずだ。
自分で聞けばいいことを…
面倒くさい奴。
最初はそんくらいにしか思ってなかった。
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