それでもお前は俺を…




「…お? お前、また考え事してんのか?」




恭平が、俺の顔をマジマジと見つめた。




「“また”って…俺、そんなしょっちゅうしてるか?」



「あぁ、 お前はよくボーッとしてる。

つか、さっきの俺の話スルーかよ。」



恭平の奴、何か話してたっけ?



「わりぃ…
ボーッとしてて聞いてなかった。」



「うわ、またかよ…
まぁ、お前のその性格にはもう慣れたからいいけど…


んで、話ってのがさ…」



一端、間を置いて恭平は話を始めた。




俺は、テーブルの上のコーラを手に取り恭平の話に耳を向ける



「俺さ、好きな子できたんだよねー」



「へぇ、」



「相変わらず冷めた反応だな。」



「で、どんな奴なんだよ?」



恭平の言葉を無視して続けた。


そして、右手のコーラを飲みながら恭平の言葉に耳を傾ける。


「隣のクラスの子だよ。
名前は、森下 美空。
結構、有名だから、お前も知ってんだろ?

半端なく可愛い…つか、もろ俺のタイプ」



「ふーん、知らない。」



「つか、お前…知らねぇのかよ。」



「そんな名前、初めて聞いた。

つか、まず俺、そういうの興味ねぇし。」



「あんだけ有名なのにな…
お前も、そういうとこ無知だよな。」



無知で悪かったな…。


「まぁまぁ、ご機嫌損ねないでさ…
一つおいしい話があんだって!」


そう思った俺に気づいたのか、恭平はヘラヘラと奇妙な笑みを浮かべながらそう言った。


< 5 / 12 >

この作品をシェア

pagetop