それでもお前は俺を…
「よしっ、そろそろ行くか。」
「そうだな。」
恭平の言葉に同意して、
空になったコーラのペットボトルをテーブルから持ち上げて席を立つ。
その瞬間、周りの奴の視線が俺に集中する。
その視線を向ける、ほぼ全員が取り巻きの女子。
そんな視線は一切無視して、食堂を後にする。
毎回思うが、
そんなに俺を見てよく飽きないでいられるよな。
俺は、芸能人でもなんでもないっつぅのに…
「あの取り巻きさん達に手ぐらい振ってやればいいのに…全く冷たい奴だ。」
隣の男が皮肉な様子でそう呟いた。
「芸能人じゃあるまいし、そんなことすっかよ気色悪い…」
「つーか、言い忘れてたけど、
デートの日付は、今度の日曜日な。
よろしく頼むぜ…龍ちゃん。」
そんな俺を無視してそう言った。
「おう、…しかし、龍ちゃんってお前に呼ばれると鳥肌が立つな。」
「失礼しちゃうよ龍ちゃんは…」
奴は、スネたような口調で言った。
日曜日か……面倒くさい。
いくら、恭平の付き合いとはいい、
面識のない女と時間を過ごすのは苦痛だ。
しかし、長い付き合いのあるツレの恭平のためだ…
あいつには、色々、世話になったし…
耐えるしかねぇよな。
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