【短編】恋は月夜に舞い降りる【砂糖菓子より甘い恋-
しかし、今日の毬は少し瞳を細めた程度。

「それに、今日、笛お稽古の日だったのよ?
どうして雅之来てくれないのかしら」

「それは、毬が練習しないからでしょう?」

「酷いっ。
ちょっとはしてるもん、ちょっとは」

毬は拗ねたように頬を膨らませる。
それが栗鼠(りす)を思わせて、龍星はふっと口許を緩めるとその唇に掠めるような唇付けを落とす。

「……やっぱり練習足りないのかなぁ。
雅之に謝ろう。
ねぇ、雅之呼んで?」

毬は少しばかり反省した顔で、龍星にそうねだって見せた。
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