【短編】恋は月夜に舞い降りる【砂糖菓子より甘い恋-
昨夜(ゆうべ)のような幻想的な月明かりの下では、あの雅之にも恋の一つや二つ降っていてもおかしくはない。

そうでなければ、連絡の一つもよこさずに無断で笛の講師をさぼるなどということをする男ではないのだ。馴れない恋に戸惑っている、そう考えるのが一番納得がいく。

「雅之には雅之の事情があるのだから、今日のところは我慢してあげて、ね?」

ふと心に浮かぶことがあり、龍星は毬にそういって見せた。

「じゃあ、私はきちんと笛の練習しているから、次のお稽古には来てねって伝えてくれる?」

「いいよ。今すぐ連絡を送っておこう」

毬は不服そうではあったが、仕方なくそこで妥協することにした。
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