【短編】恋は月夜に舞い降りる【砂糖菓子より甘い恋-
耳に心地よく、透き通った笛の音は、どこまでも潔く、何の迷いもなく。

それは、まるで知らないあの方の、心根もきっとこうであるのだろうと私に想像させるのです。

どうしたのでしょう。
いつもはそんな想像なんて浮かばないのに。


この、怪しいほどに美しい月の光のせいでしょうか。

私の心にそのような考えが、唐突に浮かんできて。
そうなるともう、急な坂道を転げ落ちる毬を止めることが出来ないように、私の心の中にも急速に切なさと愛しさが募って参りました。
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