【短編】恋は月夜に舞い降りる【砂糖菓子より甘い恋-
もちろん、この日までこんな胸を締め付けるような想いに駆られたことなどたった一度もありませんでした。
それでも。
何故だか私には、この胸を締め付けるようなキュンとした、心地よい痛さを伴う想いの名前が、切なさと愛しさであると分かってしまうのです。
これすらも、月の光の力のせいなのでしょうか。
私は思わず瞳を閉じます。
あの方の笛の音がどこまでも、耳の中を、いえ、私の体中をそっと包み込むのです。
なんて、贅沢な。
なんて、素晴らしい。
満月の夜。二人きりの演奏会。
私は初めて泣いたので、頬を伝う熱いものが何だか気づきませんでした。
夜露はいつも冷たいものですが、熱い夜露もあるのかと、驚いてしまったくらいです。
それでも。
何故だか私には、この胸を締め付けるようなキュンとした、心地よい痛さを伴う想いの名前が、切なさと愛しさであると分かってしまうのです。
これすらも、月の光の力のせいなのでしょうか。
私は思わず瞳を閉じます。
あの方の笛の音がどこまでも、耳の中を、いえ、私の体中をそっと包み込むのです。
なんて、贅沢な。
なんて、素晴らしい。
満月の夜。二人きりの演奏会。
私は初めて泣いたので、頬を伝う熱いものが何だか気づきませんでした。
夜露はいつも冷たいものですが、熱い夜露もあるのかと、驚いてしまったくらいです。