I'm in LOVE〜禁忌〜

近くの公園で涙を乾かしたあと、目的の駅に着いた。


「そーいえばさ。蓮の用事ってなんだろうね」

CDショップで試聴する宇田川くんが口を開いた。


「…本屋じゃないかな?」

欲しい心理学の本があるって行ってたし。
…勉強家だなぁ。
我が兄ながら。


「蓮もデートだったりして」

「え?」

考えもしなかった。

「蓮って、ぶっちゃけ男のオレから見ても格好良いし」

「…」

「頭イイだろ?男女問わず優しいし、しっかりしてるし。ほっとかねーだろ。女の子は」


そーなんだ。
同じ顔だから考えもしなかった。


「蓮が女の子だったらオレほってかねーよ?」

「蓮が女の子だったら、あたしは?」

「桜ちゃんは、別。別腹」

「別腹ってなぁに(笑)」

「…運命の人ってこと」


宇田川くんは試聴をやめ、あたしの手をひっぱった。

「桜ちゃんに買いたいものがあるんだ」

宇田川くんの手は冷たかった。
蓮以外の人に手をつながれるのは初めてだった。




蓮の手は温かいのに。



あたしは宇田川くんと手を初めて繋いだことより、

蓮の手を思い出していた。


< 15 / 56 >

この作品をシェア

pagetop