I'm in LOVE〜禁忌〜
近くの公園で涙を乾かしたあと、目的の駅に着いた。
「そーいえばさ。蓮の用事ってなんだろうね」
CDショップで試聴する宇田川くんが口を開いた。
「…本屋じゃないかな?」
欲しい心理学の本があるって行ってたし。
…勉強家だなぁ。
我が兄ながら。
「蓮もデートだったりして」
「え?」
考えもしなかった。
「蓮って、ぶっちゃけ男のオレから見ても格好良いし」
「…」
「頭イイだろ?男女問わず優しいし、しっかりしてるし。ほっとかねーだろ。女の子は」
そーなんだ。
同じ顔だから考えもしなかった。
「蓮が女の子だったらオレほってかねーよ?」
「蓮が女の子だったら、あたしは?」
「桜ちゃんは、別。別腹」
「別腹ってなぁに(笑)」
「…運命の人ってこと」
宇田川くんは試聴をやめ、あたしの手をひっぱった。
「桜ちゃんに買いたいものがあるんだ」
宇田川くんの手は冷たかった。
蓮以外の人に手をつながれるのは初めてだった。
蓮の手は温かいのに。
あたしは宇田川くんと手を初めて繋いだことより、
蓮の手を思い出していた。