ゆきんこ【完】
トイレ女は、まだ敦志のシャツの裾を握っている。
……ムカ。
なんか昨日から…
勝手に妬いて、嫉妬して。
勝手に怒って、困らせて。
すんごい自分勝手。
恋っていうもんは、こうも人を変えてしまうの?
『あたし変だから帰る』
意味不明な文章をそのまま送信した。
敦志がどういう反応をするかが気になった。
……え。
敦志が、自分のシャツからトイレ女の手を離し、一言何かを言って歩き出した。
帰るのかな。
……まさか捜すわけ?
下校時刻ピッタリで人が多いこの場所で。
確かに茶色とピンクの髪を捜すのは、簡単かもしんないけど…
あたしが逃げたら、どうすんだよ。馬鹿。