ゆきんこ【完】
メールは帰ってこなかった。
敦志が、近づいてくる。あたしにはまだ、気付いてないけど。
動けばいいものを、あたしはその場を動く事はせず、ただしゃがみ込んで膝を抱えた。
すぐに、見つかる事は解ってた。
だから顔を隠した。
今更逃げる事すら出来ないあたしは、見つけてほしいと叫びながらも自分を隠す身勝手な生き物。
「…みーか」
「……」
早い。
予想してたより早い。
「マジ、勘弁…何、変って」
「……」
「今日はどうした?…また妬いたか」
恥ずかしくて、カアッと熱くなるのが解った。
ガバッと立ち上がり、一瞬敦志の顔を見る。
ちょっと驚いたような顔。
あたしはそのまま帰り道を早足で歩いた。
「み…」
「仲良しの愛ちゃんと帰れ」
「ちょ、」
「あたし今日変だから遠慮する」
「ま、」
「ほら、愛ちゃんが待っておりまするよ」
壊れたあたしを隠せない。
身勝手で自己中な自分を隠せない。