ゆきんこ【完】

これ以上自分勝手になったら、それこそ敦志に嫌われる。

だから何とか直前で止めないと。我慢の限界なんかになったら大変な事になる。

火山噴火。人類滅亡。日本沈没。

……そこまではいかなくても。

きっと敦志を一番、困らせる。



「最近美香が何考えてるかわかんねえ」

……。

「だから、ちゃんと言って。信用しろよ」

「だって」

家がたくさん立ち並ぶ道を歩く早足を止めた。

「あたし変だから」

「だから、何が」

「あたし最近、すごい自分勝手だと思うんだよね」

「何で」

「すぐ怒る。我慢するのが出来ない。…すぐ妬く」

後ろを向けなかった。後ろには敦志がいるから…。

「…いいよ」

「はい?」

いいよ?何が?

「別に妬くとかいいじゃん。普通だろ。美香は俺が重いとか思うって考えてんのかもしんねえけど」

はい、考えてます。

「俺としては嬉しかったり…」

……男心って。


よく解んないな…。

「美香、俺の事相当好きだな」

「……っ」

図星だ。だって本当に、相当好き。

敦志なら…って思える。



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