ゆきんこ【完】

「…ムカついた。この際だから、言っちゃお」

「何をだよ」

敦志が不思議そうな顔をする。

「宣戦布告だから、そこのあんた」

ビシッ、とあたしを指差す女。

…失礼な。

「あっちゃんとはあたしが長くいるの。小さい頃はお風呂だって一緒に入ったりしてたんだから!あっちゃんは、あたしのもの!あんたなんか、認めない!」

……ナンデスト?



そういうのは、普通呼び出したりして陰で『もう近づかないで!』みたいな…

そんなんじゃないのか?!

「愛っ!」

何言ってんだよ、って続けようとしたんだと思う。

だけど、あたしがそれを許さなかった。

「馬鹿じゃねえの?敦志は誰のものでもないし」

「良い子ぶらないで。あたしはもう帰るから。あっちゃんとそこの女、覚悟しといてよね」

……はあ…。



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