ゆきんこ【完】

「美香が高校にいればいいのにな」

まるであたしの心を読んだかのようなセリフを、苦い顔で吐く敦志。

「今更」

そういいつつも、本当はあたしもそうしたい。

でもこればかりは…無理。

前は義理親に世話になりたくないとかいう身勝手な理由だったけど。

今は…違って。

こんな中途半端な、しかも卒業までの方が近い時期に入学なんかして、もしかしたら一年からやり直しかもだし、ていうか勉強なんてあたしにはできそうにない。

中学の数学なんて飛んでるし、歴史なんて知らなくていいなんてほざいてた。

理科は実験で遊ぶのが好きで、英語は主に『ハロー』ぐらい。

まあ、とにかく問題児な上、不真面目。

勉強は苦手なんてもんじゃない。

唯一得意と言えるのは、国語の漢字くらい。

「学校ある時間中、傍にいれないってのがなー…」

…また

あたしと同じような事を。


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