28歳のシンデレラ
挙動不審になって目を游がせていると、隼はそれを指差した。
クリスマスツリーのてっぺんで月明かりに照らされている、一等大きなスターの飾りを。
「ぼくはエスパーだから、分かるんだ。見て」
わたしは言われた通りに、クリスマスツリーのてっぺんを見つめた。
「真央さんは、きっと、これから最高の恋に落ちるよ」
「そうかしら。わたしはそうは思わないわ」
そう言いながら、隼はエスパーなのかもしれない、とわたしは思った。
エメラルドグリーン色をした目のエスパーかもしれない、と。
「ただ、その人と赤い糸で結ばれていなかっただけさ。いつか必ず、運命の人に巡り逢えるよ」
だから、無理をして忘れる必要なんてないよ、と隼は言った。
わたしは泣きやむことができなかった。
「一度好きになった人は、いつまで経っても好きなんだよ。一番じゃなくなるだけさ。だから、無理をして忘れなくてもいい。それ以上に誰かを好きになればいいのさ」
十二月のクリスマスツリーの真下で泣いているのは、わたしの他に誰もいなかった。
誰もが、幸せに笑っていた。
わたしは泣きながら、七年分の亘を走馬灯のように想い出していた。
それと同時に、環奈のことも。
想い出される情景はどれもこれも幸せな残像ばかりで、ますます泣けてどうにもならなかった。
クリスマスツリーのてっぺんで月明かりに照らされている、一等大きなスターの飾りを。
「ぼくはエスパーだから、分かるんだ。見て」
わたしは言われた通りに、クリスマスツリーのてっぺんを見つめた。
「真央さんは、きっと、これから最高の恋に落ちるよ」
「そうかしら。わたしはそうは思わないわ」
そう言いながら、隼はエスパーなのかもしれない、とわたしは思った。
エメラルドグリーン色をした目のエスパーかもしれない、と。
「ただ、その人と赤い糸で結ばれていなかっただけさ。いつか必ず、運命の人に巡り逢えるよ」
だから、無理をして忘れる必要なんてないよ、と隼は言った。
わたしは泣きやむことができなかった。
「一度好きになった人は、いつまで経っても好きなんだよ。一番じゃなくなるだけさ。だから、無理をして忘れなくてもいい。それ以上に誰かを好きになればいいのさ」
十二月のクリスマスツリーの真下で泣いているのは、わたしの他に誰もいなかった。
誰もが、幸せに笑っていた。
わたしは泣きながら、七年分の亘を走馬灯のように想い出していた。
それと同時に、環奈のことも。
想い出される情景はどれもこれも幸せな残像ばかりで、ますます泣けてどうにもならなかった。