28歳のシンデレラ
わたしは、亘を、好きだった。
同時に、環奈のことも。
三人はどうしてこんなことになってしまったのだろう。
婚約指輪を外すために繋いでいた手をほどき、わたしは言った。
「これ、外すことにするわ。もう、わたしには必要無い物だもの」
「そこまで無理をする必要はないよ」
隼がすっとんきょうな声で言って触れたそれは、皮肉にも美しい光を放っていた。
九号の、婚約指輪。
純銀色で、あわよくば純白色にも見間違えてしまうほど、美しい輝きを放っていた。
「真央さんは、子供みたいな二十五歳だ」
「心外だわ。でも、そうなのかもしれない」
「思い通りにいかなくて、裏腹な行動に出る子供のような人だ」
「ますます心外だわ」
とわたしは言い、でも、心の底から納得していた。
年下の男に馬鹿にされたのに、わたしは頭にこなかった。
婚約指輪を外そうとして手をかけたのに、いざ外すとなると、わたしはひどく憂鬱になった。
凄まじく、困惑した。
亘の左手の薬指にもサイズ違いの、まったく同じデザインのものがあるだろう。
いや、もう外されているかもしれない。
「三ヶ月分の給料と夏のボーナスを合わせて、奮発したんだ」
そう言って、亘は嬉しそうにわたしの薬指に、これ、をはめてくれた。
わたしの父も母も、亘のご両親も喜んでくれたし、何よりも環奈が一番喜んでくれたのに。
同時に、環奈のことも。
三人はどうしてこんなことになってしまったのだろう。
婚約指輪を外すために繋いでいた手をほどき、わたしは言った。
「これ、外すことにするわ。もう、わたしには必要無い物だもの」
「そこまで無理をする必要はないよ」
隼がすっとんきょうな声で言って触れたそれは、皮肉にも美しい光を放っていた。
九号の、婚約指輪。
純銀色で、あわよくば純白色にも見間違えてしまうほど、美しい輝きを放っていた。
「真央さんは、子供みたいな二十五歳だ」
「心外だわ。でも、そうなのかもしれない」
「思い通りにいかなくて、裏腹な行動に出る子供のような人だ」
「ますます心外だわ」
とわたしは言い、でも、心の底から納得していた。
年下の男に馬鹿にされたのに、わたしは頭にこなかった。
婚約指輪を外そうとして手をかけたのに、いざ外すとなると、わたしはひどく憂鬱になった。
凄まじく、困惑した。
亘の左手の薬指にもサイズ違いの、まったく同じデザインのものがあるだろう。
いや、もう外されているかもしれない。
「三ヶ月分の給料と夏のボーナスを合わせて、奮発したんだ」
そう言って、亘は嬉しそうにわたしの薬指に、これ、をはめてくれた。
わたしの父も母も、亘のご両親も喜んでくれたし、何よりも環奈が一番喜んでくれたのに。