28歳のシンデレラ
亘と知り合ったのは高校を卒業して間も無くで、付き合って今年で7年目だった。
元サッカー部だった亘は爽やかで、とにかく用意周到で、わたしにとって完璧な王子様だった。
亘は、とても、キスがうまかった。
数分前のスターバックスの中はほろ苦い珈琲の香りが立ち込めていて、ひどく気が滅入った。
真央のことを騙すつもりはなかったのよ、そう環奈は言って、涙声で続けた。
「亘と付き合って、もう3年になるわ。ごめんなさいね。でも、私だって我慢してきたのよ。ずっと、彼が欲しくてたまらなかったわ」
彼女というポジションで幸せそうにしている真央が羨ましかった、そう言って泣く環奈を置いて、わたしはスターバックスを飛び出した。
今頃、飲み掛けにして来たエスプレッソが、生温くなっているだろう。
わたしの知らないところでもう一つの愛を、二人は三年間という歳月、育んできたのだ。
悔しくて、悲しくて、憎たらしくて、わたしは泣きながら歩き続けた。
今日はクリスマスイヴだ。
亘とデートの約束をしていた。
待ち合わせ場所は駅前のスターバックスで、わたしはうきうきしながら彼を待っていたのに、そこに現れたのは環奈だった。
「私、年明け早々に結婚することになったの……亘と」
元サッカー部だった亘は爽やかで、とにかく用意周到で、わたしにとって完璧な王子様だった。
亘は、とても、キスがうまかった。
数分前のスターバックスの中はほろ苦い珈琲の香りが立ち込めていて、ひどく気が滅入った。
真央のことを騙すつもりはなかったのよ、そう環奈は言って、涙声で続けた。
「亘と付き合って、もう3年になるわ。ごめんなさいね。でも、私だって我慢してきたのよ。ずっと、彼が欲しくてたまらなかったわ」
彼女というポジションで幸せそうにしている真央が羨ましかった、そう言って泣く環奈を置いて、わたしはスターバックスを飛び出した。
今頃、飲み掛けにして来たエスプレッソが、生温くなっているだろう。
わたしの知らないところでもう一つの愛を、二人は三年間という歳月、育んできたのだ。
悔しくて、悲しくて、憎たらしくて、わたしは泣きながら歩き続けた。
今日はクリスマスイヴだ。
亘とデートの約束をしていた。
待ち合わせ場所は駅前のスターバックスで、わたしはうきうきしながら彼を待っていたのに、そこに現れたのは環奈だった。
「私、年明け早々に結婚することになったの……亘と」