パラノイア境界線
「ねえ、セックスって気持ちいい?」
わりと大きな声で言ったその言葉に、同じ車両にいたサラリーマン達はギョッとしてこちらを見てきたが、あたしはそんなの知らん顔。
「……おい…」
「聞いてんのよ。あんたはセックスすき?」
「……声がデカいって……」
男は困り果てた顔で人差し指を口の前に立てた。
あたしはそれも無視をする。
「セックスって何なの?本能ってやつ?していなきゃ死ぬの?イクって何?どこへイクの?天国?それとも地獄?答えてよ」
男はもうそりゃあ困り果てた顔で、だけど、どうすることもできずあたしを見ていた。