パラノイア境界線
「そんなに気持ちいいんなら離れないでずっとしとけって。みんな愛って言葉でごまかして、欲望にかじりついてるんだ。気持ち悪い」
泥みたいな言葉が体の奥底から溢れてくる。
押し入れの中にいたあたしがまだ此処にいる。
声をだすたびに胸のあたりがジワリジワリと染みて、ヒリヒリ痛い。
だんだん呼吸をするのも辛くなってきた。
「分かった。分かったから、もういいよ」
心配そうな男の顔がグニャリと歪む。世界が歪む。
眩暈。
それでも一度溢れてきた言葉は泊まらない。
「分かってるよ。あたしだって元はといえば、そこから生まれてきたんだってことも。知ってるよ!」
息がつまる。
酸素がうまく吸えない。
体が焼けるように熱い。